情景ことば選び辞典 インタビュー
#06

感謝を胸に、
愛ある日々を忘れない

2019年、Instagramで13.9万人(2020年6月現在)のフォロワーを擁し、主に若年層の女性に絶大な支持を受けるZUSSAをファッションディレクターに迎え、アパレルブランド“Miro amurette(ミロアミュレット 以下、ミロ)”が誕生した。

近年増えつつあるInstagram発のアパレルブランドの中で、ミロはクラシカルでガーリーなスタイルを貫いている。ヴィンテージアイテムからスタートした同ブランドだが、オリジナルアイテムの発表にも意欲的だ。

同ブランドのファッションディレクターでありモデルとしてブランドイメージを引っ張ってきたZUSSAは、どのようなこだわりを持って“ことば選び”をしているのか。その想いに注目した。

ZUSSA
ファッションディレクター
GROVE株式会社に所属。1996年生まれ。長野県出身。アンニュイでガーリーな世界観と、ハーフのようなドーリーフェイスで、主に10~20代の若年層の女性に人気のInstagramer。モデルとして活動する傍ら、2019年にアパレルブランド「Miro amurette(ミロ アミュレット)」をプロデュース。趣味はメイク、ファッション研究。

ZUSSAさんの座右の銘を教えてください。

ZUSSA:
 「人間は幸せだから感謝するのではない。感謝するから幸せになるのだ。」ということばが好きで、私の行動の指針にしています。もともとは松下電器(現・パナソニック)の創業者である松下幸之助さんの「感謝の心が高まれば高まるほど、それに正比例して幸福感が高まっていく。」という言葉です。Instagramを通じて始まったミロですが、一緒に仕事をする人たちがみんな「ミロをなんとか良くしよう」と力を尽くしてくれています。厳しい場面やつらい場面もないわけではありませんが、お互いに感謝しあっているからこそ助け合えるし、困難を乗り越えて幸せな気持ちになれるんだと思っています。

あとは“愛”という言葉が好きですね。今、ミロの公式HPでは“LOVE WILL KEEP US TOGETHER.(私たちは愛でつながる)”というメッセージを発信しています。今回このインタビューのお話を受けてから学研の『感情ことば選び辞典』を購入したんですが、“気持ち”に関する言葉だけで200語以上掲載されていると知って驚きました。好きな言葉なのに、今まで“愛”にまつわる表現がこんなにあるなんて考えたこともなかったなって。それからInstagramでの発信のときや、なにか書き物をするときなんかにちょくちょく『感情ことば選び辞典』を使うようになりました。しっくりくる表現が思いつかないときなんかは、ただ読んでいるだけでも「こんな言葉があるんだ」という発見がありますね。新しい表現に出会えると、自分の視野が開けた感じがするんです。まだまだ目を通していないページがあるので、これからどんな“ことば”が見つかるか楽しみにしています。

Instagramって写真メインのSNSではあるんですが、どんなキャプションをつけるかも結構重要で。ZUSSAとして「私はこう思う」という意思を表現することで、共感してくださった方がフォローしてくださるという面もあります。

自分が思い描く風景…たとえばデートシーンなんかを表現するには『情景ことば選び辞典』の方がピッタリかもしれません。あと、“難しすぎないけど陳腐でもないちょっと素敵なフレーズ”がたくさん載っている『ときめく日本語辞典』的な辞典があったらいいなと…男性が女性にちょっと気の利いたメッセージを送るときに使うイメージですね(笑)。

Miro amuretteというブランド名の由来を教えてください。

ZUSSA:
“Miro”は“鏡”を意味する“Miroir(ミロワール)”から取っています。amuretteは“お守り”という意味です。どちらもフランス語ですね。Miro amuretteの服は「着る人を映す鏡であり、一歩踏み出す勇気をくれるお守りである」という思いをこめてつけた名前です。“Miroir”を略したのは、そのほうがお客様に覚えていただけるかなと思ったから。響きも可愛いし、呼びやすさは大事だと思っています。

うちのお客様はほとんどが私のフォロワーさんで、大体18歳~20代なかばぐらいの女の子。Instagram上でフォロワーさんの相談を受ける機会もあるんですが、なかなか自信が持てない子が少なくありません。そういう子たちがミロの服を着ることで少しでも自信を持てるようになったらいいなと思うんですね。“女性として自信を持つ”というのは、ミロの大きなコンセプトでもあります。

女の子って、実際はどうかにかかわらずコンプレックスをかかえている子がすごく多い。だからミロでは “ちょっと気にしちゃう部分”をカバーしつつ、より可愛らしく見せられるアイテムを積極的に販売しています。そういう意味で、本当に「amurette=お守り」を目指しているんです。

ブランドを作り上げてきた過程で印象深かったことや楽しかったことは?

ZUSSA:
ミロのアイテムは基本的にネットのみで販売しているんですが、たまにポップアップで実店舗を開くとお客様の声が直接聞けます。セレクトアイテムの買い付けも私がすべておこなっているので、お客様の喜んでくださっている様子がダイレクトに伝わってくるのはすごく楽しいです。皆さんがミロを支持してくださるおかげで、最近はセレクトアイテムだけではなく、オリジナルの小物や洋服もお店に出せるようになってきたんですよ。オリジナルアイテムの取り扱いはずっとやりたかったことなので、実現できてよかったなと思えますね。

それと最近ではInstagramのLIVE機能を使って『にわとりごやのお悩み相談室』っていう、インターネットラジオみたいなこともしています。Instagramのアカウント名が“@niwatorigoya”なので(笑)。フォロワーさんの恋愛やファッションのお悩みを聞いて、私がそれに答えています。ちょうど新型コロナウイルスの影響でずっと自宅にいるし「暇を持て余していても仕方ないし、なにか新しいことを始めてみよう」ということで。こちらでもお客様から直接コメントをもらえるのでありがたいです。むしろ私がそれに励まされてるくらい!

これまで続けてこられたのはフォロワーさんやスタッフや、周りの方みんなの支えがあったおかげですし、いくら感謝しても感謝し足りないですね。

ZUSSAは中学生のころから「いつかファッションにかかわる仕事がしたい」という夢を持っていた。しかし両親の反対にあったことや、ZUSSA本人に厳しい世界で戦っていく自信が持てなかったことから、一度は医療の道に進む。しかしファッションへの情熱は依然としてあり、Instagramへの投稿は続けていた。

そんな彼女がミロをオープンし、夢を叶えられたのは、フォロワーやスタッフなど周囲の支えがあってこそだと、ZUSSAは語る。

今後はミロをどんなブランドにしていきたい?

ZUSSA:
今度は私がミロというブランドを大きく成長させていく番だと思っています。“インスタブランド”というだけで色々言う人もいますけど、私やミロを好きだと言ってくれる皆さんのためにどんどん新しい動きを見せていきたいですね! たとえば実店舗を展開するとか。今はネットかポップアップでしかミロの服は買えませんが、実店舗をオープンできれば常にお客様が商品を手に取って選べるようになりますよね。

Instagramや店舗HPなど、ミロとしてことばを発信する際に気をつけていることは?

ZUSSA:
ミロのお客様はInstagramで私を知って、そこからブランドを知ってくださる場合が少なくありません。“ミロ=ZUSSA”というイメージで見てくださっているという感じです。

他のインスタブランドが増えている今、“どのブランドを買うか”よりも“誰から買うか”という点に重きを置いているお客様が多いなと感じます。私個人としてはもちろん、ブランドのディレクターとしても、フォロワーさんとの距離を縮めて「この人から買いたいな」と思ってもらえる人物であることを心がけています。Instagramは写真がメインのSNSですから、最初は私のファッションなどの見た目を気に入ってフォローしてくれる人が多いんです。でも内面的な部分でも魅力を感じていただけるように、努力は続けないといけないと考えています。

洋服に関して発信するときは「この服はデートシーンにピッタリ」「こういう着こなしが可愛い」「このアイテムはここがポイント」など、お客様がその服を手に入れたらどういう使い方ができるか、自分はどう可愛くなれるか、ということが想像できるような伝え方をしています。

またミロのモデルは今のところ私一人でやっていますが、いかに服を可愛らしく見せられるかということにもこだわっています。写真の色合い・撮影場所・ヘアスタイル・セットの雰囲気などは私がプロデュースし、実際の撮影はカメラマンさんと相談しておこないます。

ZUSSAが描く世界観に、多くのファンが集まっている。
InstagramやHPを通じて発信される彼女の哲学は、あと一歩の勇気が欲しい女性の背中をそっと押してくれる。

「あの人はこうだから、あなたもこうしたら?」
そう言われたくはないとZUSSAは語る。
ファッションとは、その服を着る人を映す鏡のようなもの。
鏡に映った姿が他の誰でもない“私”であるために、ZUSSA=Miro amuretteはメッセージを発し続ける。

『情景ことば選び辞典』は、あなたが見た景色を多くの人へ向けて発信したいとき、あなただけの表現を見つける助けになるだろう。

情景ことば選び辞典

文章を書くとき,さまざまな情景や風景をありきたりな言葉でしか表現出来ず困るときに開く本。気象・自然・時・色などを,より美しい言葉で表現したい人のための一冊。薄い,軽い,小さいの三拍子で,いつでもどこでも使える。