古今東西

言語化

言語化とは…?
感情や感覚、直感的なイメージを言葉にし、伝えること。
自分の思い・考えを、相手に伝達するための手段であり、自身が理解されるために必要なこと。
自分のイメージや思考を、言葉にするため、
そして他者により正確に伝えるためには、相応の語彙力(ごいりょく)が必要となる。
どんなに豊かな感情や、深い思案があったとしても、
自分の語彙の範囲でしか言葉にすることはできない。
『古今東西』は、言語化という課題と常に共にあるコラムニストの感情と思考を読み解くことで、
まずは、思いをことばやかたちにする、すなわち言語化することの大切さを学ぶコーナーである。

つた-える【伝える】《他下一》

❶そのものが媒体となって、他のものに移す。
「金属はよく電流をー・える」「作者の意図を読者にー・える」❷ことばで知らせる。「出発の日時をー・える」「ニュースをー・える」❸仲立ちをとおして告げ知らせる。伝言する。「彼には君からー・えてくれ」類語 言付ける。❹先人からことばを受けついで今に残す。言い伝える。「沼に竜がすむとー・える」❺代々受けついできて、あとの者に・残す(教え授ける)。「昔の情緒を今にー・える町」❻〔ある物・物事を〕よそからもってきて、そこに届かせる。もたらす。「海外から新技術をー・える」
『学研 現代新国語辞典 改訂第六版』(2020)株式会社 学研プラス

column_No. 01

保田 和寛 Yasuda Kazuhiro

編集者

まんが雑誌やグラビア誌の編集を経て、
1990年代後半から2000年代にかけ一世を風靡した
伝説のギャル・ギャル男雑誌『egg』『men's egg』の編集に従事。
現在は、学研プラスにて「エデュテイメント」をテーマに
児童書の編集に携わっている。

げん-ご【言語】

音声(またはその代用の文字)によって、心の中で思ったり感じたりしたことを外に表現したり
人に伝えたりする行為。また、その手段として
用いられる音声や文字。ことば。
「ー表現」「ー明瞭」

『学研 現代新国語辞典 改訂第六版』
(2020)株式会社 学研プラス

ワクワクする誌面が読者を前向きな気持ちにし、
夢の実現へと向かうモチベーションにつなげたのだと思います。

光栄なことに、新しく始まるこのコーナー第1回目の執筆依頼をいただきました。しかし、テーマも自由、文体も自由、好きなことを自由に書いてくださいって…。まぁ、そういうアバウトなの嫌いじゃないっす(笑)。
フリーダム、上等!ということで、気軽なノリで、勝手気ままにゆる~く書かせていただきます。このサイトのノリとズレてくるかもしれないけど、そこは僕に依頼した言語化タイムズスタッフの皆さん、後悔してください(笑)!
さて、だらだらした前振りで始まりましたが、これを読んでいるみなさんは「ところで、お前はいったい何者なんだ!」と思っていることでしょう。なので、まずはこれまでの経歴をサラッと記します。
大学卒業後、中堅出版社のB社に入社。当時はヘアヌード写真集ブームの真っただ中。
B社はその時流に乗って、テレビCMをバンバン打ったり、人気番組とコラボレーションしたり、芸能人を呼んだ大規模なイベントを開催したりと、かなり派手に暴れまわっていました。

そんな中で、業界の楽しさを味わいつつ、出版営業、まんが雑誌の編集、グラビア誌の編集を経験。そして、より楽しいことを求めて転職。

『egg』というギャル雑誌の編集に携わることに。『egg』は当時、女子高生を中心に絶大な人気を誇っており、雑誌で仕掛けたことがそのまま世の中でブームになるなど、〝トレンドを仕掛ける楽しさ〟というものをリアルに体感させてもらいました。ちなみに、今では当たり前に使われている「イケメン」という言葉もこの雑誌が生み出した言葉です。
その後、『egg』の男の子版『men's egg』を担当。この雑誌は昭和の男子高生(昭和のというのがポイント)がやるようなおふざけをさらにパワーアップさせて全力でやるのが信条で、ヤンチャな男の子たちと日々おバカなことを全身全霊かけてやっていました。

『egg』『men’s egg』をご存じない方のために一応お伝えしておきますと、どちらもファッションを軸としたティーン向けカルチャー誌です。

と、ここまでは〝いかに型破りなことをやるか〟という世界に身を置いておきながら、なぜか真逆の学研に転職。『キラピチ』『ピチレモン』という優等生雑誌の編集を経て、現在は児童書を担当しています。

いや~、こうやってあらためて振り返ると、我ながら振り幅が広い!学研入社前と入社後では、真逆のことをやっていますね(笑)。
そんな中で一貫しているのは、出版物を通して世の中に「ワクワクを〝伝える〟」ということでしょうか。
その時どきでやっていることは違うけれど、改めて振り返ってみると、一貫して〝ワクワクすること〟を伝えてきたような気がします。
『egg』『men's egg』には、オシャレ自慢の読者を掲載する「読者スナップ」がレギュラー企画としてあったのですが、そこに集まってきた読者の子たちは、「men's eggを読んで読モ(読者モデル)になりたくて上京してきました」「men's eggを読んでアパレル業界に入りたくてショップでバイト始めました」「men's eggを読んで美容師になるために専門学校に入りました」などなど、みな口々に夢を語ってくれました。ワクワクする誌面が読者を前向きな気持ちにし、夢の実現へと向かうモチベーションにつなげたのだと思います。
そういった言葉を聞かされると、「僕らのやっていることは、多くの若者に夢を与えているんだな」ということを実感し、それが仕事をする上での励みにもなりました。雑誌の編集は読者と直接触れ合う機会が多いので、こうやってダイレクトに読者の生の声を聞けるのがいいところですね。


僕はこれからも、子どもたちの好奇心を良い方向へと向かわせる、ワクワクする本をしっかりと作り続けていきたい。

この両誌はとにかく熱量の高い雑誌で、登場している読者モデルたちもみなパワフル。それぞれが夢を持っていて、その夢の実現に向かって突き進むエネルギーをダイレクトに誌面に反映させていたので、きっとそのエネルギーが読者にもストレートに伝わり、「自分も夢を叶えたい!」というワクワクにつながったのではないでしょうか。
いま作っている児童書でも、子どもたちが一生懸命書いてくれた読者アンケートを読むと、励みになります。ただ、雑誌と違って、直接会話をする機会がないことは残念ですね。
この文章を書いていてふと気づいたのですが、僕がこれまで携わってきた雑誌は、対象が思春期の多感な年ごろの子たちなので、「読者の人格形成にも大きな役割を担っているのではないか?」と、今更ながらにドキッとしました。
いま担当している児童書は、読者の年齢層がさらに低い、これから様々なことを吸収していく、まだまっさらな子どもたちなので、そのあたりをいままで以上にしっかり意識して、本を作っていかなければ!
情報は作り手次第で、プラスにもマイナスにも変えることができてしまうので、僕はこれからも、子どもたちの好奇心を良い方向へと向かわせる、ワクワクする本をしっかりと作り続けていきたいです。

新型コロナウィルスの影響(2020年6月現在)でこれまでの生活様式が大きく変わり、不安や悩みを抱えている子どもも多いと思います。そんな時、僕が作った本を読んでワクワクが高まり、夢の実現へと向かう原動力につなげてくれたら嬉しいですね。