古今東西

言語化

言語化とは…?
感情や感覚、直感的なイメージを言葉にし、伝えること。
自分の思い・考えを、相手に伝達するための手段であり、自身が理解されるために必要なこと。
自分のイメージや思考を、言葉にするため、
そして他者により正確に伝えるためには、相応の語彙力(ごいりょく)が必要となる。
どんなに豊かな感情や、深い思案があったとしても、
自分の語彙の範囲でしか言葉にすることはできない。
『古今東西』は、言語化という課題と常に共にあるコラムニストの感情と思考を読み解くことで、
まずは、思いをことばやかたちにする、すなわち言語化することの大切さを学ぶコーナーである。

つた-える【伝える】《他下一》

❶そのものが媒体となって、他のものに移す。
「金属はよく電流をー・える」「作者の意図を読者にー・える」❷ことばで知らせる。「出発の日時をー・える」「ニュースをー・える」❸仲立ちをとおして告げ知らせる。伝言する。「彼には君からー・えてくれ」類語 言付ける。❹先人からことばを受けついで今に残す。言い伝える。「沼に竜がすむとー・える」❺代々受けついできて、あとの者に・残す(教え授ける)。「昔の情緒を今にー・える町」❻〔ある物・物事を〕よそからもってきて、そこに届かせる。もたらす。「海外から新技術をー・える」
『学研 現代新国語辞典 改訂第六版』(2020)株式会社 学研プラス

column_No. 06

頼朝 Yoritomo

プロデューサー、日本ソムリエ協会認定ソムリエ

元歌舞伎町ナンバーワンホストとして、ホスト業界の礎を築く。
引退後は、広告代理業をはじめ、ファッション、スタイル誌NINE CONTINUEプロデューサー、商品プロデュース、 飲食コンサルなどなど、幅広い分野で活躍。
シャンパーニュ好きが高じて、シャンパーニュオブザイヤーの予選審査員も務める。

本来、言葉はとても慎重に扱うものでなくては
いけないと思うのです。

はじめまして頼朝です。
広告代理業をはじめ、 ファッション、スタイル誌,NINE CONTINUEプロデューサー、商品プロデュース、 飲⾷コンサルなどなど、いろんな⽣業をご縁でさせていただいております。またシャンパーニュ好きが⾼じまして、シャンパーニュオブザイヤーの予選審査員をさせていただいたりしています。

私⾃⾝、 ⽇本ソムリエ協会(JSA)が認定する「ソムリエ」の資格を取得しており、現地メゾンの作り⼿の思いや、フランスのシャンパーニュの本当の素晴らしさを ⽇本に伝えたいという思いを強く持っています。
そこで今⽇は私にとって愛すべき素晴らしい ライフアイテム(シャンパーニュ)について、お話ししましょう。
シャンパーニュについての knowledge に乏しい⽇本⼈の殆どは、 発泡性のワイン(スパークリングワイン)を全てシャンパンと呼び、また認識しています。ところがフランスのシャンパーニュ地⽅の作り⼿は、その事に苦痛を感じています。
シャンパーニュにはれっきとした、厳格に定められた「定義」があります。

シャンパーニュ地⽅は、北緯48度〜49.5度、海洋性気候と⼤陸性気候が⼊り混じった稀有な場所に位置しています。
⼤陸性気候は、夏にシャンパーニュに必要なぶどう作りに適した⽇照量をもたらします。そして海洋性気候は⼀定の気温と湿度を保つことができ、シャンパーニュに必要なぶどうの⽔分補給に役⽴ちます。

その恵まれた環境と、ぶどう栽培者、醸造者の事細かい取り決め(瓶内⼆次発酵等)を元に作られたスパークリングワインこそが唯⼀シャンパーニュと呼べるのです。

その昔、スティルワイン(⾮発泡ワイン)が作られて保管されていた、ミサに使われるワイン倉庫の番⼈であるフランスのオーヴィエール修道院の修道⼠、ドン ドンペリニョン⽒が倉庫の瓶の中のワインが⾃然と泡⽴っていたのを発⾒したのが
最初の始まりです。17世紀、ルイ14世の没後、発泡しているワインが⺠衆に好意的に捉えられるようになりました。
そこで意図的に発泡性のワインを作ろうとするのですが、これがまた⾃然発⽣したものが最初ですから⼤変で、当時倉庫の中の発泡性ワインの30%から40%が爆発したそうです。怖。

その後時間をかけて、この発泡性ワインの製造に必要な糖分添加の量で炭酸ガスの量の調整技術発⾒をしたのもフランス⼈であったわけです。

フランスの誇るプロダクト。それがシャンパーニュで、そのまま⾃国の地⽅名をこの⽣産物に呼称を掲げたのです。

その後に、他国でもスパークリングワインの製造が⾏われているわけですが。
シャンパーニュ(シャンパン)はスパークリングワインの中のトップ オブ トップ、エリート中のエリートなんですねー。フランスでは、呼称統制機構を作り、「シャンパーニュ」という⾔葉が正しく使われるよう、⼒を⼊れています。シャンパーニュの⽣産地として、絶対的な誇りを持っているのです。
そんな絶対的な誇りを持つ彼らが、 何でもかんでも「シャンパン」と呼ぶことをどう思いますかねー?⽇本はお得意様的な輸出先であり、商業的にはありがたいパートナーですが、感情的には如何でしょうか?フランス⼈は、もしかすると本⼼からは喜んでいないかもしれません。
普通のスパークリングワインも、 「シャンパン」と呼ぶだけで何となく有難がられます。ただ呼ぶ名前を変えるだけで、物事の“価値”まで変わるわけです。でもそれは本当の“価値”といえるのでしょうか?
――そう何となく考えていると、 今回の“⾔語化”“伝える”というワードを考えるヒントが、シャンパーニュにあるように思えます。

周囲の相⼿に思いを伝えるために、⼈は“思い”を“⾔語化”するわけですが、「シャンパーニュ」と「スパークリングワイン」のように、使う⾔葉が正確でないと相⼿に“思い”が正しく伝わらないのでは?

本来、⾔葉はとても慎重に扱うものでなくてはいけないと思うのです。

歴史や背景まで踏み込んで味わうシャンパーニュは また格別の味なんですよねー。
⾔葉も同じじゃないかな?
そんなことを考えながら、コンサルとしても相⼿に合わせた⾔葉選びを⼼がけています。褒め⾔葉ひとつとってもありきたりにならないようこだわっていますが、それは企業秘密(笑)、また別の機会に

何が⾔いたいかっていうとシャンパーニュも⾔語も、正しい知識やまわりへの気配りが必要。
それがあれば、今までと⽐べ物にならないほど楽しめる。的な感じかな……

そんな感じで、ではこの辺で…