#02
今回の対談をおこなうにあたり、『言語化タイムズ』の読者から
“日常の会話”をテーマとしたメッセージや質問を募集した。
話し方ひとつで人に与える印象は大きく変わる。
日々の会話を円滑にし、人間関係を良好に保つ“美しいことば選び”について、
元Julietボーカル・MAIKOと『ことば選び辞典®︎』シリーズ担当編集者・田沢あかねが語った“ことば”を、全4回で紹介。
第2回は引き続き、読者から届いたメッセージをもとにMAIKOと田沢が表現を考える。
※読者から届いた文章は、一部を除きそのまま掲載しています。
思春期の息⼦に⾔われた「関係ねぇババァ」。私の気持ちは伝わっているの?
家族とは⼀緒に過ごす時間が⻑いだけに、つい「このくらいは⾔わなくてもわかるだろう」と考えてしまいがちだ。しかしいくら親しい間柄でも⾃分⾃⾝ではない「他⼈」であることに変わりはない。仕事の仲間や友⼈に対するときと同様に、⾃⾝の考えを“ことば”に表し円滑にコミュニケーションをとらなければ、快適な家族関係は築けないだろう。今回は思春期を迎えた息⼦から⾔われた⼀⾔で、⾃分の⼈⽣を振り返った⺟親からのメッセージを紹介する。
MAIKO:
それでは次のメッセージを⾒てみましょう。
私はいま、⾃分を変えたいと思っています。元々、美容師をしていたのですが、25歳で⼦供を出産とともに家庭に⼊り、 気づけばもう43歳になってしまいました。今回、メッセージを送ろうと思ったきっかけは、 息⼦との些細な喧嘩です。
「俺の⼈⽣だろ、関係ねぇババァ」
互いに感情的になっていたこともありますが、そんな⾔葉で、 私の⼈⽣ってなんだろうって思うようになりました。息⼦の成⻑だけが⽣きがいだと思ってきた⽇々は息⼦に伝わっているのかな? 私の過ごしてきた時間は無駄だったのかな? と、思ってしまうと急に怖くなってしまいます。だからこそ、今からでも私⾃⾝の⼈⽣を本当に価値があったんだと思えるように、しっかりと息⼦にも伝えられるように、 ⾃分を変えられればなと考えています。 (40代・女性 )
田沢あかね(以下田沢):
これは印象的なエピソードですね。「関係ねぇババァ」なんてセリフが会話中に飛び出したら、一瞬目が覚めるような思いにはなってしまいます。ことば選びとは直接関係ないんですが、この⽅⾃⾝が今まで積み上げてきた経験や今持っているものを肯定したうえで、次のステップに進んでいただけたらいいなと感じてしまいますね。
MAIKO:
⼈の気持ちをつかむキーワードというか、出来事が起きていると思います。「関係ねぇババァ」はキラーワードですよね…。この⼀⾔で息⼦さんの発⾔から受けたショックが⼗分伝わってきます。それを踏まえて、これからどんな⾵にしていきたいかというトピックまで話に含められるといいですね。
⽥沢:
たしかに、自分を変えたいという今の想いは伝わってきますが、今後どう変わりたいかという部分を掘り下げられると、聞く人の心をより動かせるのかもしれません。
MAIKO:
そうそう。これまでも⾊々チャレンジしてきたことがあったと思います。⾃分を変えるためにこんなことをしたとか、どんな努⼒をしてきたかというアピールをしてもいいですし。息⼦さんに負けずに頑張ってほしいですよね!
⽥沢:
ご⾃⾝の⼈⽣を楽しんでください、というメッセージを送りたいです。
過去を振り返ることも⼤切だが、未来の展望を語ることでただ反省をしただけで終わらず、さらなる発展につなげていくことができる。他⼈が発した“ことば”を変えることはできないが、捉え⽅次第では⾃分が成⻑するための学びとなるだろう。
第3回では“話し⽅のコツ”について読者から届いた質問にMAIKOと⽥沢が回答。⽇頃のコミュニケーションに役⽴つQ&Aを多数紹介する。
Profile
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田沢あかね
2014年、学研教育出版(現・学研プラス)に入社。80万部以上というコンパクト辞典としては異例の大ヒットを飛ばした『ことば選び辞典®︎』シリーズの編集を担当する。静岡県出身。母校である京都大学大学院では、言葉への興味から『平家物語』『保元物語』の研究を深める。幼いころは文字を読むことが好きすぎて、食品パッケージや電話帳までひたすら読みこんでいたという重度の蠹書蟲。好きなものは、古典と妖怪とコミック全般。
2014年、学研教育出版(現・学研プラス)に入社。80万部以上というコンパクト辞典としては異例の大ヒットを飛ばした『ことば選び辞典®︎』シリーズの編集を担当する。静岡県出身。母校である京都大学大学院では、言葉への興味から『平家物語』『保元物語』の研究を深める。幼いころは文字を読むことが好きすぎて、食品パッケージや電話帳までひたすら読みこんでいたという重度の蠹書蟲。好きなものは、古典と妖怪とコミック全般。
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MAIKO
2009年Julietのメンバーとしてデビュー。同年リリースした「ナツラブ」「フユラブ」は多くの若者の恋心の代弁歌として大ヒット。2018年、約10年間のグループ活動を終え、現在はアーティストのレコーディングコーラスや、サーフ系ファッションブランドROXY GIRLSとして様々なイベントへ参加中。
2009年Julietのメンバーとしてデビュー。同年リリースした「ナツラブ」「フユラブ」は多くの若者の恋心の代弁歌として大ヒット。2018年、約10年間のグループ活動を終え、現在はアーティストのレコーディングコーラスや、サーフ系ファッションブランドROXY GIRLSとして様々なイベントへ参加中。