#05
無限に溢れる“ことば”の中からなにを選ぶかは、あなた次第。
言葉は常に増え続けていく。誤用がそのまま本来の意味に取って代わることもあるし、
若者言葉など新たな言葉も生まれている。変化の多い言葉の中からどれに寄り添い、どれを使うかは扱う本人次第なのだ。
今回の対談をおこなうにあたり、『言語化タイムズ』の読者から“日常の会話”をテーマとしたメッセージや質問を募集した。話し方ひとつで人に与える印象は大きく変わる。日々の会話を円滑にし、人間関係を良好に保つ“美しいことば選び”について、元Julietボーカル・MAIKOと『ことば選び辞典』シリーズ担当編集者・田沢あかねが語った“ことば”を、
全4回、改め全5回で紹介。
最終回となる今回には、少しMAIKOと田沢の人となりに触れるような質問が届いた。
※読者から届いた質問は、一部を除きそのまま掲載した。
今まで4回にわたって“日常会話に役立つことば選び”について紹介をしてきたMAIKOと田沢あかね。2人の言葉に向けたこだわりが好評だったため、対談は延長戦へ。今度こそ最終回となる今回、どんな“ことば”で締めくくられるのだろうか。
Q.私は現在34歳なのですが、生涯記憶に残る体験をしたいと思い、とある1000人規模のスピーチ大会に出場しようと考えています。しかし人前でスピーチをした経験がなく、どんな内容で話せば良いのか迷っています。アドバイスをいただけませんか?
田沢あかね(以下田沢):
34歳というと、お仕事でもキャリアを積んできたころかなと思います。これまでに様々な経験をされていると思いますので、仕事に絡めてご自身の強みなどを話してみてはどうでしょうか。
MAIKO:
自己PRの時間なら、なにかアピールできることを盛り込むと良いですね。これからどうしていきたいのかという未来の展望を話しても良さそうです。「何かを語ろう」と思うと、どうしても過去を振り返りたくなりますが、過去の話をしてるとネガティブな方向に向かいがちなので、それよりは「今からこんなことをしたい」ってポジティブな話をした方が聞き手の応援も受けられるかと思います。
Q. 『ことば選び辞典』シリーズについてもっと教えてください。お二人のオススメの色はどれですか?
⽥沢:
うれしい質問ですね。ありがとうございます!
MAIKO:
本当にかわいい辞典ですよね。デザインやカラーリングも田沢さんが決めたんですか?
⽥沢:
はい。デザイナーと相談しながら装丁を決めました。普段スマートフォンをよく使っている層にも手に取っていただきたかったので、スマホカバーのデザインを参考にしながら作ったんですよ。
MAIKO:
へー!今までの辞典にあったガチガチのお勉強感がなくなって、すごく手に取りやすくなっていると思います。
⽥沢:
そう言っていただけると嬉しいです。全国の書店やネット通販でも手に入ります。1冊630円(税抜)から購入できるので、学生の方でも入手しやすいかなと思います。( Amazon:感情ことば選び辞典 )
MAIKO:
ご両親が購入して読み終えたら、お子さまに共有するのも良いですよね。家族みんなで使う、みたいな。田沢さんはどの色がオススメなんですか?
⽥沢:
そうですね、私は赤い表紙のシリーズがオススメです。赤い色は元気が出るといいますし。
MAIKO:
私はグリーンとかブルーですかね。ブルー系の色が好きなんです。組み合わせるなら、グリーンとピンク、パープルとか?かばんに入れていてもかわいいから、ぜひ好きな色から選んでみてください。
⽥沢:
まさか色から辞典を選ぶ日がこようとは…。隔世の感がありますね。辞典って学校で買わされるし、重いし、分厚いし、持ち歩くの嫌だなあってイメージがありますが、読んでると面白いですよね。
MAIKO:
どんな風に読むんですか?
⽥沢:
私は読むのが苦にならない側の人間なので、分厚い辞典でも読んでしまうんですが。たとえば、ある項目の参照項目を延々とたどって1日中読み耽ることがあります。Webサイトのリンクをたどっていくイメージが近いでしょうか。調べたことだけでなく関連事項までどんどん知ることができるので、初回にご相談のあった“言葉の引き出し”を増やすということにもつながるんじゃないでしょうか。言葉に対するアンテナを高くしていると、世の中には面白い言葉があふれているということが見えてくると思います。
対談の中で2人は、“ことば”には“自分らしさ”が表されるものだと語ってきた。自己をアピールするための言葉はもちろん、なにかを表現するときに人それぞれ伝え方は異なるはずだ。それは、使いやすい言葉とそうでない言葉を自然に取捨選択しているからだろう。
「正しい言葉」も「美しい言葉」も存在することなく、あるいはすべての人の言葉が正しく美しいものだとして存在するように、言葉は扱う人によって自由に選ばれるものである。
堅苦しく捉えることなく、たとえば好きな色から辞典を選び、気になる語句から言葉への探究を深めてもいい。
『ことば選び辞典®︎』は今の時代に寄り添う辞典といえるのではないだろうか。
Profile
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田沢あかね
2014年、学研教育出版(現・学研プラス)に入社。80万部以上というコンパクト辞典としては異例の大ヒットを飛ばした『ことば選び辞典®︎』シリーズの編集を担当する。静岡県出身。母校である京都大学大学院では、言葉への興味から『平家物語』『保元物語』の研究を深める。幼いころは文字を読むことが好きすぎて、食品パッケージや電話帳までひたすら読みこんでいたという重度の蠹書蟲。好きなものは、古典と妖怪とコミック全般。
2014年、学研教育出版(現・学研プラス)に入社。80万部以上というコンパクト辞典としては異例の大ヒットを飛ばした『ことば選び辞典®︎』シリーズの編集を担当する。静岡県出身。母校である京都大学大学院では、言葉への興味から『平家物語』『保元物語』の研究を深める。幼いころは文字を読むことが好きすぎて、食品パッケージや電話帳までひたすら読みこんでいたという重度の蠹書蟲。好きなものは、古典と妖怪とコミック全般。
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MAIKO
2009年Julietのメンバーとしてデビュー。同年リリースした「ナツラブ」「フユラブ」は多くの若者の恋心の代弁歌として大ヒット。2018年、約10年間のグループ活動を終え、現在はアーティストのレコーディングコーラスや、サーフ系ファッションブランドROXY GIRLSとして様々なイベントへ参加中。
2009年Julietのメンバーとしてデビュー。同年リリースした「ナツラブ」「フユラブ」は多くの若者の恋心の代弁歌として大ヒット。2018年、約10年間のグループ活動を終え、現在はアーティストのレコーディングコーラスや、サーフ系ファッションブランドROXY GIRLSとして様々なイベントへ参加中。